[>>114…――ふと、カレルの身体が身軽に浮いた。横薙ぎに払う斧を一瞬の足場にし、ソマリの顔に両の膝で飛び込んだ。身軽な猫の様に。避けられても、上手く当たっても、ぬかるむ足場に靴底を滑らせバランスを崩す事なくすぐに立ち上がった事だろう]
なーんて、感動的な再開、在ると思ったのか?……ふ、…―――クック、ク、……、ちゃんと聞けよ、言ったろ?「ぼく」も壊してしまったんだよ、チャールズは、自分自身の手で!
もう、アンタのだけのチャールズは、何処にも居ないんだ、
…――っ、はっはっは!ぁははっ!!
アンタが!手離したんじゃないか!あんな、小さな子供が、独り、……馬鹿みたいにのんびりしてて、未だ、生きてるとでも思ってたのか?お目出度い頭だな、反吐が出るぜ!!
[暗い紅に染まった眼が、ニヤニヤと卑下た笑みを浮かべて、目の前の相手を嘲う。其処に居たのはチャールズでも、カレルでもない、吸血種のそれでもない、…あの日屋敷の人間を皆殺しにした、捨てられた子供の、狂気だ]