― 回想・7〜8年前 ―
[上屋敷で面識を得たのは、オクタヴィアスだけではなかった。
時折ラモーラル州からやってきては、オクタヴィアスをあちらこちらへ連れ回す男、ダーフィトも、その一人だった。
使用人のいう悪い遊びに向かう彼らに、護衛という名目で無理矢理ついてゆくこともあったが、彼らがどこへ向かおうがそれは自分の職分ではないので小言を言うこともない。
ただ、ダーフィトが普段住んでいる場所ではない王都を、下町まで自由自在に動き回れるほど把握していたことには、内心驚嘆していた。
よほど、カンがいいのか、あるいは都の性質を知り尽くしているのか。
いずれにせよ興味深い男だった]