[そこで…は、自分が大声を出していること、そして周囲の注目を集めていることに気づき、気まずそうに咳払いした。驚いて身をすくめるラヴィをそっと撫でると、決まり悪そうな顔をカレルに向け、席に浅く座る。]
…すみません、私としたことが少し気が立ってしまっていたようです。せっかくラヴィのために運んできてくださったものに、失礼致しました。
ラヴィ、貴方は有り難く頂いておきなさい。ただ、申し訳ないが私は、それを頂くわけには参りません。カレル殿、申し訳ないが…。
[…はメイドを呼んで持ち帰り用のパンを注文すると食事の分とパンの会計を行い、書物とパンを布袋にしまって席を立った。]
カレル殿、申し訳ないが夕の祈りの準備があるので、私はひと足早く失礼させていただきますね。また教会にも立ち寄っていただければ幸いです。
ラヴィ、貴方はゆっくり戻ってきていいのですよ。カレル殿とも、お友だちともおしゃべりしたいでしょうし…。
[…はカレルと、そして周囲の客に軽く頭を下げると、静かにその場を去った。]