「上位魔法が使えるって言うからパーティーに入れたんだぞ!唱える前に戦闘が終わるってどういうことだよ!
つっかえねー鈍くさい奴!」
「エルフってもっとすばやさが高いと思ったんだけどねぇ?戦闘入ったら真っ先に呪文唱えて欲しかったんだけど…あーあ期待ハズレもいいとこ。」
「もう明日から来なくていいですよ。あなたはクビです。」
………………。
[酒場にいる人間たちの営みを眺めていると、かつての仲間の言葉が想い起こされて、エルフはそっと目を伏せた。]
(鈍くさい……わけじゃ……ない……)
[ぺたりと力なく耳が垂れ下がる。どうして自分は人間たちと同じように機敏に動けないのだろうか。自分では急いでるつもりでも、周りからはそうは見えないらしい。
人知れず落ち込んでしまうのはいつものことなのだが。]