― 村中 ―
[モーリッツから逃げ出して村をぶらぶら歩いていれば名前を呼ばれる。
声がする方に顔を向ければ見知った姿が視界に入って来た。ディーターだ>>120。
ディーターの足取りはおぼつかない。近くまで寄れば、昼だと言うのに漂ってくる酒の匂い。
ディーターがふらついているのは酒のせいだろうと勝手に推測しては眉を顰めた。]
また、昼から酒を飲んでるのか?
全く良いご身分だな。
[アルビンがずけずけとした物言いなのは2人が気心が知れた仲だろうか。
少なくとも客に対しての態度ではなかった。]
とは言え、アンタに会えば一言目に酒を求められるのは知ってたんだけどな。
ああ、勿論持って来たよ。とびっきりのをね。
[ただ、商品を求められれば行商人のアルビンは口角を上げ、自慢の商品を引っ張り出しては頭上に掲げた。*]