[ほどなく、こちらへ向かうものたちの前に影が現れ先行しつつも折々に立ちどまり、案内するのが見られよう。影はビリヤードルームの扉を開いたのち、どこかへ消え失せる。] 待っていたよ。[扉に人の影差すのを見ることなく、声を掛ける。手にはキュー。台の上にはボールが5つ。白い手球がキューに撞かれて転がり、別の球を弾く。弾かれた球はまっすぐポケットへ向かい、―――わずかに逸れて跳ね返った。]