ー 騒動発生前、メイン・サロン ー
[観察青年と別れて、漸くメイン・サロンの中へと入った時の話。
入ってきたはいいがこれからどうするか考えようとして、誰かが”お兄さん”を飲みに誘う声が聞こえた。>>273
声の主はバー・カウンターと思われる場所にある椅子に座っていた青年だとすぐ判明した。
飲みに誘われたのは……と辺りを軽く確認してみたところ、どうやら自分らしいと男は理解。
しかし、その誘い文句はなんというか……]
おいおい兄ちゃん
まるで姉ちゃん誘うみたいに言うじゃねぇの
[初対面の相手だというのに、ケラケラと揶揄うように笑いながら直球でツッコミを入れていた。
仕方ない、お兄さんの部分を除いたら本当にそう聞こえるのだから。
しかし揶揄うのもその時だけ、誘いに乗ってグラスを頂戴してお酒を物色。
お酒をグラスに注いだ後は、相手のOKがもらえれば隣の席にでも座らせてもらうつもりだが、さてどうだったか。]
しかしあんた、この状況で酒飲むとか度胸あるよな
それとも酒飲んで気を紛らわせてるとか?
[そんな事を言う自分も躊躇なく酒を頂戴しているのだが、そこは棚に上げての言葉。
一杯二杯飲んだ程度で酔う程男は軟弱じゃないから、それよりは誘いに乗って楽しもうという考えである。*]