人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


薬師 クレステッド

[ 止血をしなければ。
 包帯は、布を切り裂けば事足りる。
 傷薬は……

頭は止血の手順を正確になぞるのに、体が動かない。
目の前に差し出された腕、それを染める赤から目が離せない。

     ヤ メ ロ

そう理性は命令するのに、体は自然と傾ぎ、溢れるに口づけていた。
甘美なるその味わいに、それを得たことに、身体が歓喜する。
背筋を、降りる痺れのようなナニか。

牙を突き立て、更なる甘露を望むあさましい体を何とか押し留め、流れる血だけを舐めとる。
いつしか、血は止まっていただろうか。
全てを舐めとった後、]

 済まない、カレル。済まない。

[カレルの頭を抱き寄せ、ひたすら謝罪の言葉を繰り返した。]

(129) 2013/10/02(Wed) 00:34:12

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