[ 止血をしなければ。
包帯は、布を切り裂けば事足りる。
傷薬は……
頭は止血の手順を正確になぞるのに、体が動かない。
目の前に差し出された腕、それを染める赤から目が離せない。
ヤ メ ロ
そう理性は命令するのに、体は自然と傾ぎ、溢れる血に口づけていた。
甘美なるその味わいに、それを得たことに、身体が歓喜する。
背筋を、降りる痺れのようなナニか。
牙を突き立て、更なる甘露を望むあさましい体を何とか押し留め、流れる血だけを舐めとる。
いつしか、血は止まっていただろうか。
全てを舐めとった後、]
済まない、カレル。済まない。
[カレルの頭を抱き寄せ、ひたすら謝罪の言葉を繰り返した。]