― 舞踏場近辺・ビル屋上 ―[一頻り、旋律を紡ぎ終えた奏者はゆるり、手を下ろす。銀色の繭──『舞踏場』へ近づくものたちの気配が微か、感じられた]……賑やかな事だね。[く、と零す笑みは愉しげな響きを帯びる。近くにいる銀の娘を畏れてか、『異形獣』の気配はない。戯れに動かす指が衝撃を伴わぬ音色を落とし、大気を震わせた]