旅人 ニコラス

例えばげぇむ中に過ごした、段々故郷として意識し始めたあの村で出会った人狼とは全員交流があり、その上皆優しい人だった。

その優しさのために自ら犯した罪に悩み、苦しみ、辛い思いはしたけれど。最終的には人狼たちが目覚める前に築いた信用と温かい人間関係とが、彼らを救うこととなった。

だから、もし彼らのように親しく交流している誰かが人狼になったとか、ガルー種に寄生されたとかの状況を把握したときに、万が一共生できる道が存在したとしたら。あの村では絶対ないと諦めた方法が見つかるのだとしたら。

……おれはその道に縋ってしまうかもしれません。特別な親友を、なす術もなく失い、大切な人を三人も傷つけた。あの体験を想像したら、とっても他人事とは思えませんので。

[あのとき感じた胸の痛みは未だにハッキリと残っている。表情には苦痛の色が一瞬浮かんだ。

冬眠中に永遠の別れを迎えることになった事例も多い。大切に思っていた祖父の臨終の席に立ち会うこともできなかった。
胸中で抱える諸々は表に出さないよう細心の注意を払って、再度口を開く。]