[威圧されている?――違う。
後ろめたいのはどっちだ?恐らく、この問いが最適だろう。]
[捨てきれなかった感情が、ガタガタと蓋を揺らす。]
[押し込めた感情が、動揺して様子見するように顔を出す。]
[無邪気な少女の姿は忘れろ。]
[でなきゃ、お前はここで死ぬ。]
[―死んでいい。帰らなくてはならない場所などないのだから。]
[ドロシーの静かな声が、自分を責めているような気がする。
違う、違う。おれは、正しいと思うことをしただけだ。]
[姉上、おれはアナタのように聡明ではない。]
[兄上、おれはアナタたちのように勇ましくない。]
[父上、おれはアナタのように万物を愛せない。]
[母上、おれはアナタのように優しくはなれない。]
[一体、どこで間違えた?]
[“ふりだし”には戻れない。]