―― 第二王子自室 ――
[ようやく仕事が一段落ついたのは、
完全に日が沈んでからのこと。]
お褒めの言葉を賜り、光栄の至り。
この身には怪我ひとつありませんが……
ウェルシュ様こそ、ご無事で何よりです。
[その言葉の中に含まれているのは、
彼の身に何かあれば僕の野心は全てご破産、という打算と。
単純に、彼へ畏敬を向ける一家臣としての情の、二種類の安堵。]
"彼女"は、我々を捕えることが目的だったようで、
本気で銃撃するつもりはなかったようですから。
臣は臆病者なので、本気で狙われていると知っていれば、
きっと脱兎の如く逃げていたでしょう。
[冗談めかして微笑むけれど、僕だって自分の命は惜しい。
だから――。]