[余所者だからと安易に疑うのはどうだろうかと、
フリーデルやジムゾンの話も落ち着いて聞こうと、
――先程のフリーデルの仕草を思い出して、そう悪い人じゃないんだと、
言おうとして。]
『純粋すぎて反吐が出そう。』>>108
[そんな時、こんな台詞が聞こえてきたから。
思わず、耳を疑ってしまう。
その声音に含まれる色は、清らかな修道女のものとは到底思えないもので。
…あぁ、例えるならば。
人を騙し、絡め取る遊女の声だ。
父さんの名を呼ぶ、あの女の声がはっきりと蘇る。
…あの女の声が脳内で、「反吐が出る」と吐き捨てている。]