…………趣味が悪い。
[今更、なのかもしれない。が、男は呟かずにはいられなかった。ぼやかすような言い分の裏に、はっきりとした確信があるのが感じ取れて。溜息をつく。
嗚呼、確かに彼女のいうことは最もだと。]
その尽きない欲のせいでどれだけ苦労したことか。
どれだけのことを怖れてきたことか。
それも全て――――欲だと。
[あからさまに、目の前に差し出された林檎を。甘い甘い毒をあえて、飲み干す。]
礼を言おう、クロムウェル嬢。
貴女のお陰で、手っ取り早く“済み”そうだ。
[何が、とは言わなかった。では、また。と男は告げると小柄な鴉を一瞥して。書斎をあとにした**]