[それには、正式な退艦命令のないまま始まった、一部の兵らの行動(>>90)が影響していた。水上電探を担当する、眼鏡をかけたツィスカという一等水兵が捉えた反応が、その始まりだった、『――……あれ、この反応……?』艦の至近に、複数の反応。ごく弱い、先刻と同じようなサイズの小船。それが、ゆっくりと艦から離れていく。意味するところは、明白だった。『これって……艦載艇が発進してる……んでしょうか?』会話を続ける士官らを尻目に、スコープを覗く下士官兵らは息を呑み、互いの顔を見合わせた]