[一歩、ドロシーが踏み出して>>114、銃口がまたドロシーの方を向く。]
―――。
[怒っている?
そうか――確かに怒っていそうだ。
憎まれ口は出ない。
ドロシーがもう一歩近づいて、二歩、三歩と確実に近づいてくる。
思わず、左脚を半歩引けば、激痛が走って顔を顰めた。]
近づくのをやめたのは、ドロシー。
お前だ…真っ直ぐ来ればよかったのに、立ち止まったのはお前だ。
後ろめたかったんだろう?
思うことがあったんだろう?
――それとも、自分がそうしてはいけないと思ったのか?
[興奮しているせいか、動かなければ脚の痛みはそれほど感じない。
だけど、さっきから脂汗が酷い。動いていないのに、微かに呼吸が乱れる。]