[川の上流側では、牧羊犬に導かれた羊たちがバシャバシャと水を蹴立て、川面に雲のように浮かびながらゆっくり南岸を目指している。小舟の運行を邪魔をしていることなど、むろん気にも留めていない。中には流されて橋桁にひっかかってめぇめぇ鳴く羊もいる。溺れかけた羊は牧羊犬が岸へ引きずりあげていた。剣戟のすぐ脇に、のどかというには違和感ある光景がそこにある。]