― 回想 ―
[お前は少し息子を見習え、と。
半ば冗談、半ば呆れ口調でマーティに言ったとがある。
もう随分と前の話だ。]
お前の戦いには──…
[男が口にした説教に、帰ってきたのは実に暢気な一言だった>>0:137
その暢気さに呆れるより先に毒気を抜かれて、思わず笑ってしまったことを覚えている。
仕方がないなと言いながら、けれどこれこそが何時の間にやら弟分に収まった、人の形をしたクマの良さと知っていた。
細かいことは自分らが考えれば良い。
彼はただ、歪むことなき真っ直ぐな気性のままにディークの傍にあってくれれば良い。
そう分かっているから、それ以上を言うことはなかった。
けれど時折は、拳骨を落とす調子でコツンとやることもあったのだけれど。]