―カフェ―
[異邦人の為の部屋の準備が終われば、再びカフェに戻り、給仕の手伝いをする事にした。
いつものかっちりとしたスーツを脱いで、腰履きのエプロンを纏う。
コーヒー粉をサイフォンにセットし、紅茶の葉をポットに入れて。
本日のオススメプレートは厚切りの卵サンドのようだった。
シメオン達に連れられた異邦人たちがカフェに姿を見せれば、それぞれ好みの飲食を提供しただろうか。
常温の飲み物をと希望する黒髪の青年にも言われた通りに水を出して。
飲み物に睡眠薬を混ぜることも考えなかった事もないが、此方の方針が決まっていない以上、個人での非礼な振る舞いは出来ようもなかった。]