― 会場 ―
[男の、テノールの声で紡ぐ歌は軽やかなもの。
まるでお伽話に出て来る様な、夢と幻想に包まれた様なそれで。
上機嫌な鼻歌は、会場に入った後も続いて。]
He loves me,
He don’t!
He’ll have me,
He don’t!
He would if he could,
But he can’t,
So he don’t!
[賑わう人集りが見えれば、ピタリと歌は止み、誰とも問いかける事は無く呟いてみせて。]
素直になれない子も、中々可愛い……ん?
[何処とも無く漂う香ばしい匂い。この出処は何処かな?]