[黒衣の"敵"は娘の前に。何を話したかなど届きはしない。剣気の軌跡>>125だけが澱んだ視界に映った。ディークは何も考えない。命じられる二つの呪いのどちらを優先するか、秤にかける思考もなかった] ガッァ、アア、 うあ[鞭打たれて青黒く腫れた腕が泥を掻く。よろめきながら四つ足は地を蹴った。伸ばした爪は"敵"を切り裂こうと、あるいはバランの贄である娘を捕えようと。目的を達するにはもはや力を失いすぎた遅さで]