― 302号室 ―[ゲルトの検分が終わった後、物言わぬペーターの髪を昨日と同じようにそっと梳く] あんたが死ぬ事なんて、無かったのにね……。[死の理由は、きっと、ずっと、わからないままなのだろう。 だから、多くは語れない。 けれど、10年前の銀嵐の日に何があろうと、彼の死の結果が齎したものが何であろうと、譲れない思いをぽつりと呟いた。][そうして、シーツを掛けて、部屋を辞した]