― 闇の奥 ―[先ほどまで、ほんの一瞬前まで何もなかった背後に圧倒的な気配が生まれていた。振り向こうとするより早く言葉が耳を通り抜け、胸の中心で熱が弾ける。罪の刻印から茨が噴き出すように姿を現した。手足を絡めとりながら茨は太く長く蔓を伸ばし、床に根を下ろして、捕えた身体を持ち上げる。]