――回想・花屋Florence――
どういたしましてっす。
―――……ははは。今日はほんとに、たまたまだったんっすよ。
[相手がつられて笑えば>>1:393、心に安堵が落ちる。
そうだ、これでいいのだと。ただの“日常”を繰り返す。
だがいつだって来てくれていい、という言葉に一瞬言葉が詰まった。
まさか、嬉しいっすーなんて社交辞令でも言えない。まして、また来る、なんて叶えるつもりのない約束はできなかった。
――もっと踏み込んだ関係になりたい、だなんて。そんなこと考えてはいけない。
それに彼女の方にも、どこかぎこちなさを感じることがあった。>>1:395
彼女の方も何か思うことがありそうだというのは察しており。
―――まさか、まさか亡くした友人と重ねられているとは夢にも思わない。知るわけもない。
彼女には暖かい居場所があると思い込んでいる女は、
彼女は遠い世界の人であると思い込んでいる女は、
――彼女に仲間意識など抱いてはいけないと。彼女が話しかけてくるのはただの付き合いでしかないと。
それもあって、距離を置きたいと、思っているのだった。]