[店主のおすすめを聞きながらゆっくり買い物を楽しむのも趣味であるエルナにとっては、
パン屋での買い物の時間は味気ないものであることの方が多い。
最初のうちはオットーにおすすめを訊いていたのだけれど、
今となっては居合わせたペーターにそれを訊くくらいで、その頻度も多くはない。
そういう時を過ごしているうちに、求める品もいつの間に、
味気なさを反映してしまったとでもいうのか。
まあ、パンがおいしいのには変わりないから、さほどこの点について深く考えてはいないのだけれど。
たまに買い求める、果物がたっぷり入った甘いパンだって―――]
おはようございます、…いらっしゃい?
[などと考えつつ針に糸を通していると、今度はシモンがやってきた。>>95
追加注文をしにきたというわけではなく、大雪がもたらしたものと対策について伝えに来た模様]