― 大渓谷 ―
[所々、建造物だった名残の白い岩を残す大渓谷。
深い緑と清らかな流れが、人里へと清水を運んでゆく。
嘗てこの地に瘴気が蔓延ったことを記憶にとどめているものの数は少なく。
だが、強く戦った勇者たちがいたことは皆知っている]
[渓谷の中心のくぼ地にて。
ここに似つかわしくない金属片が積み重ねられ、鳥の巣の一部と化していた。巣を彩る色褪せた赤や緑の樹脂の巻かれた金属紐。巣の中から、降り立とうとするかつての雛たち。
時は巡り続ける。人里はなれたこの地は、永久に静かに在った**]