― モーザック砦 ―[幾度となく対峙した相手、それが己に抱く思いが快いものではないだろう、という自覚はある。それだけに、今の扱いについては少なからぬ困惑があったが、それは一時飲み込んだ] ……よくもまあ。 これだけ、残ったな。[跡形もなく消し飛んでいても不思議はなかったのに、と。そんな、いささかズレた感慨を抱きながら一階の様子を見回した。瘴気が入り込んでくるのも時間の問題か、と思いつつ、抜け出せそうな道を探し歩いて]