[フェオリバラム王家とファサン家の縁は、長くて深い。
関りを辿れば神代まで遡るらしいが、それは余談としておいて。
一つ年上の乳兄妹は、限られた空間しか知らなかった幼い頃の自分にとっては身近な存在であり。
無自覚、『まもってくれる存在』として、頼っていた時期は間違いなくあった、のだが。
未だ天龍の卵とも出会わず、神獣角に見初められてもいなかった時分。
お忍びで遊びに出た城下町で『なにか』に命を狙われた。
それが他国からの干渉だったのか、はたまた王家の存続を良しとしない何かの仕業だったのかは、闇の中に葬られているが。
ただ、その時は、自分はほぼ無傷で。
一緒にいた乳兄妹が怪我をした事だけは覚えていて。
……まあ、その時自分は痛くないのに大泣きして困らせた件には蓋をしているけれどそれはさておき]