――回想:白狼館――
やはり、顔を合わせておりますよね。
軍服姿が記憶に強く、今日のお姿は別人かと思いました。
どちらも素敵なことには変わりありませんが。
[噂に聞いていたよりも柔らかい女性だったことに
彼も安心したのか少しにこやかに微笑んだ。
いや、もしかしたら思ったよりでてきた女性が綺麗だったからニヤけているのかもしれない。
今日、2発目のキックをお見舞いした]
白狼騎士団の守るゾネス要塞は鉄壁と伺っております。
その若さで、しかも女性だけで強硬な組織を
まとめてあげていること尊敬いたします。
[彼は何を思って褒めているのだろうか。
最初はわからなかったが、続いた話に納得がいった]
私のもとに来てくださるのなら、
王都に来ていただくことになるでしょう。
もしくは、私のラバル家の統治する
西の田舎の屋敷になりますでしょうか。
周りには動物が多く、いつでも暖かい空気が
流れるのどかなところです。
[この土地とは正反対の彼の田舎の話をしたのは彼女――アイリの本音を聞き出そうと思ってのことだ。
総督までのぼりつめた女性だ。今の地位にプライドもあるだろう。
彼はあくまでも無理してこの婚姻をすすめる気はないようだった*]