[とりとめの無い思考は続く。]
―そう言えば『アレ』はなんだったんだろ…。
[―ここに連れて来られたばかりの時遭遇した奇妙なモノ。
上半身だけで4本腕で虫のような羽の生えた儚げなモノ。
何時の間にか檻の向こうに浮いていて何を聞いても一言も答えなくて、気付いたら消えていた不可思議なモノ。
天使かどうか聞いたら微かに清浄な気配を漂わせたから多分そうなのだろうとしか分からないモノ。]
……あのお人形さんみたいな奴。
[―意志なんて物をまるで感じさせない、何よりも自由意思を尊ぶ彼にとって、最も不愉快なモノ。
それが最も古き天使の1人である『神の声』だと言う事など、当然知る由も無く、ただ嫌な事を思い出したと言わんばかりにシーツに顔を埋めた。**]