[フレデリカに言い聞かせながらも、自分自身は、故郷が壊滅した後の記憶を消すつもりは無かった。 苦しみ、悲しみ、喪失感、全てを失った後の絶望…それらすべての負の感情を背負った状態で、積み重ねられる記憶もあったから。 目の前で息絶えたフレデリカの姿。 認識票に刻まれていたシェットラントの名前。それもまた、忘れてはいけない光景、忘れてはいけない記憶の一部だとわかっていたから。 自分自身の存在が消えるまで、それらすべての記憶を、心の中に抱いて歩こうと決めていた。]