[悲鳴を聞きつけてやってきたのは赤毛の男と白い犬。
どんな厳しい時も穏やかな雰囲気を忘れなかった男が銃を取り出す。
何故彼だけが、この場所を知っているのか――聞くまでもないだろう。
彼はこちらの状況を確認すると、銃を構えて、無言で二発。
それは精確に己の左肩と右の手のひらを貫いていく。
肩を、手を――細工師としての生命線と言うべき身体を撃ちぬく銃弾
死んでしまった。
『人間』としての、『細工師』としての己は死んだも同然だ。
なんてあっさりとした最期なのだろう。誰にも気づかれず死んでしまう。
『人間』の己が死にゆくのを、どこか他人ごとのように感じる
焼けるような痛みも絶望感も、己のものではないかのようだった。
己を死に至らしめた男は試練の間、聞いた事のない声色で
「――…オズ、お前は何者だ?」>>#22とだけ簡潔に己に問いかけてきた。]