― デメララ・収容施設 ―
[年若い娘が頭を下げる様子に、ざわめきが広がる。
浮かぶ表情の多くは、学園が落ちたことへの驚愕や、ついにという無力感、そして突然協力を求められた事に対する困惑だ。
ざわつきがひときわ大きくなった時、ひとりの男が掴みかからんばかりの勢いで飛び出した。]
「居場所を取り戻すって言うけどなあ!
マンダレーも落ちた、ロンリコも落ちた、
どこにも行く場所なんて無いじゃねえかよお!
帝国から逃げるなんて、できるわけねえだろ!」
[男の口から溢れたのは、絶望の叫びだ。
周囲の者たちは男を押しとどめているが、何も言わないのは彼らの中にもいくらか同じ諦念―――絶望があるからだろう。*]