― 城門前 ―
[ 庭園を後にして、
画家が何処へ向かったかというと、
城の出入り口である城門の前…
ひいては街へ――と考えていたのだけれど。
城門の前は王の訃報を聞いた民で溢れ>>22
入るのは元より、出るのも難儀な有様。
さてどうしたものやらと唸って、
人々のうねりと城門の境界にその姿を見つけて。 ]
…鼻歌も出ないほど忙しそうだね?
[ いつか話しかけたときとは違って
道行く人も軍人も国に努める官吏も
皆等しく混乱の只中にある。
きっと彼女も例外ではないのだろうと思いながら
偶々通りかかったような体で声をかけた。* ]