― 回想/ウィズルカだった頃 ―父上…母上を見捨てるんですか?[それは二十歳になったある日の事。長らく治らない病にかかった母親が、帝国で治療を受ければ治る見込みがあると知った時、真っ先に父親へとその事をもちかけた。だがその訴えを検討した父は後日難色を示した。長くかかる治療だろう闘病生活。金銭の問題や誰がつれて行くのか、そういった面に本妻が反対したらしい、と理由を聞いて内に燻る物を抑えきれなかった。]