[暫くして、気がついた時には何人が其処にいただろうか。
目を擦り、エレオノーレから聞いた話を一つ思い出す。
地下避難所が薬に耐え得る温度を保つ為には、地下避難所に通じる道を全て封鎖し、二重扉を閉じる必要がある、ということ───。
よく見れば、この部屋には幾つかの扉がある。
自分たちが通ってきた霊薬店に通じる扉、階上に繋がる扉、そして、何処に繋がるのか分からない扉が2つ………。
よろりと立ち上がって、まずは自分たちが通ってきた扉を開ける。
入ってきた時は気付かなかったが、確かに扉が二重になっていて重い。
その外側をロックし、部屋についている扉を閉めた───これで、エレオノーレは今持っている材料以上の霊薬は作れなくなる……が女は其処まで考えられることはなかった。
最も、其の先の扉がマレンマによって開け放たれているが為に、そこはもう誰も通れない通路と化しているのだが。]
………次………
[身体に力が上手く入らない。
誰か来るかもしれない。しれないけれど……
───母さんが此処に来ないうちに。]