「ニッコウキスゲ、のお花畑がみてみたいわ」
[幼いヒトの少女は、植物図鑑を開いて言いました。]
「たかいおやまの上で、朝いっせいに花ひらいて。
夕方にはみぃんなしぼんでしまうんですって。
だから、わたしは見ることはできないのでしょうね。」
[小さな指が図鑑の一節をなぞってゆきます。
少女の話を聞いていた青年がなにか言うと、気丈な笑顔で答えます]
「だめよ、おとうさまにしかられてしまうわ。
でも、そうね。もしお外に出るおゆるしがでたら。
そのときはつれていって、おにいさま」
「連れて行って」
.