[戦うための人間が、戦いに意味を持てばそれは喜びに繋がるのだと。
先の戦いより明確な敵の存在に、全てを失ってしまっていたこちらは
己の存在の輪郭を得て、対する男とは反対に感動すら覚えていた。
敵だという明確な宣言を確認すると、より強く戦う意味を見つけ、
笑んだまま、敵のバスターソードの下を滑るように掻い潜り、
そのまま持ち手の腕に一戦を刻もうとした。
だが相手は自分の剣を斬り上げる事はせず、真っ向から受け止め、こちらを押し返す。
自然眉間に皺がよるのは、これがこの男と剣を交える際に慣れていないやり方だったからだ。]