[ぐるりと見回す。
色々と積まれた横、『おうまさんより』と書かれたそれの意味が今一つつかめない。
まさか、兄の愛馬だった黒馬とのやり取りから始まった一件とは思いも寄らず]
「……ええと。
そこの、猫……さん?」
[首を傾げながら、寝ているケット・シーをつついてみる。
ほわりと温かい。
その温かさと柔らかさに、何となく、警戒が薄れて。
寝ている横に座って、そっと撫で始める。
兄は猫や小鳥などの小さな生き物が苦手だったが。
妹は逆に、そういうものが大好きで、だから。
その内、抑えが利かなくなって抱きかかえそうになるわけだが──それと、ケット・シーの目覚めはさて、どちらが先となるのやら。*]