― バザールにて ―寮長、あれが欲しいです。少し手直ししたいものがあるので。[バザールに着いて強請ったのは、良質の羊毛が入った小袋だった。具体的に何に使うのかは、聞かれてもいつものように笑って誤魔化す。誰かにあげたりは殆どしないから、密かな趣味を知っているのは作るところを見ることのできる同室者《ステファン》と。兎グッズを手作りしたと聞いて、手乗り人形も作ってみる?と打ち明けた同級生《レト》だけかもしれない**]