[激昂すると予想していなかったのだろうか。
同時に流れ出す大粒の涙。]
涙が出る段階で、カサンドラは人の心を持つ
れっきとした人間なんだよ。
信じないと何も始まらないからな。
ちぇっ、俺そんなに信用されてなかったのか。
もう少しカサンドラに優しくしてたら信用してくれてたのか?
いや、今から優しくすれば信用してくれるのか?
……だめだ、遅かったな。
常日頃の言動は大事だ、ということか。
[嘘は吐いていない。
端正な顔を歪め続ける涙をせめて早く止めようと、冗談を交えながら。
女性をこんなに泣かせることになるなんて。
その細い肩に、柔らかな髪にそっと掌を、髪に手を乗せようと伸ばしたが、届いただろうか。
届けば彼女が落ち着くまで、何度も撫でて。]