[>>110首筋から血を吸う事には抵抗のない男は吸血を行う際に気分の高揚や快楽を伴う。
吸われる際にも同様の感覚が齎されるのは、命に危険を及ぼす可能性のある行為に対する危機感を忘れさせる為かなどと考えながらも、身の内の変化を悟られまいと口を引き結ぶ。
だから漏れた声が笑みを呼んだ事に気付く余裕はなく。
相手が自分の牙を使って吸血するのが初めてだとは知らずに、首筋から牙を抜かれて味の感想を口にされれば緩く首を傾げ。]
――…そんなものじゃねぇのか?
…っ。
[疵口に滲む血をジークムントの舌が這えば、無意識に引いていた髪に力を込めた。]