……でも出来なかった。
本来恋天使という種族は人間を生贄としか見なさないのだから、彼らに情を抱く筈は無かったのだけど。
それどころか、愛する妻子を亡くすという辛い記憶を打ち明けてくれたクレメンスに対し、自らも打ち明けようとした事さえある
『俺は恋天使なんだ』…と
…でも言った所でどうなる?
まっとうな人間なら
“宇宙連邦に突き出して、ハイサヨナラ”
だろう。
もし…もしも恋天使である自分を受け入れてくれたら?有り得ない程のIFを重ねたその先。もし危険種族を匿った事がバレようもんなら彼には厳罰が下るだろう。
……んな真似させられっかよ
彼らを騙している事実、打ち明けられない後ろめたさに支配されたままであれば
最後に会った歓送迎会>>58の時にも、あまり沢山は話せなかったような気がする
]