[だけど、心の奥底のどこかで気持ちが通じていても、それを飲み込むことができないこともあった。兄は確かに、「そのままでいい」と言ってくれたが、それがどうしてなのかわからなかったのだ]いっしょなら、さみしくはないよね? なのに……、[だから、誰にも何も言わずひとりで、願いを叶える地へ赴こうとしたのだった。故郷の町に背を向けて飛びながら、どうか今すぐ兄が追ってはこないようにと願った。自分《かたわれ》がいなくなってしまったことに、いち早く気付いてしまうだろうから]