(こんっなに広い場所。 普通に渡るとか、面白くないよなー。)[口には出さねど、意識にあるのはそんな思い。しゃら、と鈴を鳴らして魔力を凝らし、呼吸整え、そして] 風よ水よ 我が呪歌《うた》を聞け。 水も空も 等しく翔ける。 軽《かろ》き衣 編みて落とせ我のこの身に。[紡いだのは、風と水の双方に働きかける複合術。養母の同僚が水遊びをする時に使うのだと教えてくれた、水上歩行と浮遊の効果を併せ持つ歌。いつかどこかで使ってみたい、と思っていたそれを躊躇いなく発動させて]