― 双子のはなし ―[面白い双子がいると囁いたのは誰だっただろう。あるいは、双子が自ら売り込みにきたのだったか。並び立つ双つの顔を目の当たりにしたとき、これぞと膝を打ったのだ。分かちがたき一対。渾然としてひとつでありながら、個々にも完成された美を持つもの。以来暫く、館には一対で完成品となる美術品が増え続けた。]