― 12年前:騎士団領都市内 ―
[その親子は屋敷のある都市の片隅で音楽を奏でていた。
同じ年頃の少年が楽器を奏でて歌い、その母親が音楽に合わせて踊る。
焚かれた火も相まって、どこか幻想的な光景に見えた。
クリフがその場所を訪れたのは、画家を目指す兄を探していたため。
兄は焚火の傍でその親子を描いていた]
わぁ……
[兄を探しに来たことも忘れ、絵を描く兄の傍らで音を聞き、踊る動きをキラキラした表情で見る。
この頃から既に、芸術と括られるものに対して心奪われる節があった。
そうして親子を見詰めていると、クリフに気付いた少年が「踊ろう」>>50と誘ってくる]
え、えぇ!? 俺も!?
[驚いていると、兄からも「行って来い!」と背中を叩かれた。
背を叩かれた反動で少年の方へと近づくことになり、誘われるままに、ぎこちない動きで踊りだす]