[頭を撫でる手が嬉しく、緊張が段々とほぐれてくる。けれど、口づけなど初めてで、どう動けば正解など分からない。ただ、初めてここまで深く求めた人と熱を交わしたいと彼の熱に翻弄されながらも必死になって応えた。
そうして、身の裡に湧き上がる衝動に浅ましさを覚える。
これほど与えてもらっているのに、まだ欲しいのか、と。
自分の欲深さに愕然としていたせいか、首元が緩められている事など全く気付かなかった。
唇から熱が離れる。
自分の浅ましさに気付き、呆れられたのだろうか。
反射的に目を開ければ目の端に黒髪が映る。
あれ、と思った瞬間、]
っあ……!
[首筋に感じた熱さに反射的に声が上がる。
弱点を晒している状態だが怖くはない。
それよりも、自分が挙げたあまりにも甘ったるい声の方が問題だ。
これ以上変な声をあげないようにと、唇を噛みしめて彼の肩口に顔を押し付けた。]