吾も、生まれる前から神樹の巫女と決まっていたのじゃ。
幼き日は退屈で嫌じゃったが、今は神樹のおかげで、したいことがあれもそれもできておる。
クロートの剣も今は荷物かもしれんが、いつか役に立つかもしれんのじゃ。
剣無しでしたいこと全部できたなら、その時捨てればよいのじゃ。
剣はクロートの重荷ではなくて、おまけなのじゃ。
[勇者、と呼びかけるのは、最初の何回かで否定されまくったので止めていた。けれども頼られれば応えずにいられないその姿勢こそ、勇者の資質に違いない。
それでなくても、彼が勇者だというのは"知って"いるから]
クロートの思うようにすればよいのじゃ。
別に先祖が勇者でもぺんぺん草でも、そこに救える世界があったら勝手に駆け出していって救うに決まっているのじゃ。
[なんて言って笑ったのだった。**]