―回想/2日目・第2エリア通路―
[自分の紡いだ言葉で彼女が不安になり、表情が消えていく様子を見て息が詰まる。>>27
今まで見せていた明るい笑顔の姿の下に、苦しみや哀しみを
ずっと押し殺していたのだろう。
「殺して」、とナイフを差し出された時
本来なら始末するべきだったのだろう。
例え無実であったとしても。
それが、彼女の願いであっても。
どちらにせよ、俺はこのままでは殺せなかっただろう。
心身共に酷く苦しみ、日々消滅の危機に怯えながら生きる生。
それは生というよりは最早義務。
逃げることの出来ない囚われの鳥籠の中の鳥。
ナイフを受け取ることが出来なかったのは
可哀想だから? 同情しているから?
それとも――喰らいたかったから? ]